II

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 「おまえ、何なんだ。マジで気持ち悪りぃな」  田島くんは佐野くんを睨みつけると、佐野くんは又しても、ドアに身体を押しつけて縮こまった。  「ってかさあ、おまえらあの噂知らねえの?マジで」  田島くんが"噂"と言った瞬間、車内は呼吸音も聞こえないほどに静かになった。  噂?  噂って、流斗と三奈木先生が付き合っているって噂?流斗が三奈木先生を妊娠させたって噂?  だけど、田島くんが口に出したのは全く予想していない噂だった。  「あの女、若い男をヤルのが好きらしい」  どうでもいい他人の性癖を無理矢理聞かされて、私はどんな顔をすれば良いのかわからない。取り敢えず流斗は三奈木先生の好みの範囲内?  「何それ?若い男なら誰でも良いってこと?」  愛菜は怒り気味に言う。  説明会以降、三奈木先生にあんまり良い印象を持っていないようだ。  「愛菜ちゃん、そんな訳ないだろ。あのババア色白の美形が好み何だと。そう、そう、正しくああいう顔」  田島くんは前方にある助手席を指差す。  「なあ、皆神、聞いてるか?一応ヤルって言ってもなあ、セックスのことじゃないぜ。殺す方のヤルだからな」  田島くんは嫌らしく笑いながら言った。
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