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 愛菜は少し上目遣いで流斗を見る。愛菜が流斗に気があるのは知っている。でも、流斗の女の子との噂は何一つ良い噂なんてないのに、それでも流斗と付き合いたいと思う愛菜の気持ちが私には理解できない。  流斗の外見にはドキッとしてしまうことはあるけど、付き合いたいとはとても思えない。  寧ろ私の人生から消えて欲しい……と思う瞬間もある。  「さっき起きたばかりだけど、俺も食堂行こうかなあ」  流斗は愛菜に視線を注ぎながら話す。相変わらずだなあ。  「さっき起きたばかり?あれ?皆神くんって確か実家から通ってるんだよね?詩音が二時間位掛かるって言ってたけど」  あっ、やばい、誤解される。  「あっ、流斗は昨日……」  私が慌てて説明しようとしたら遮られた。  「いやあ、俺昨日、詩音の家に泊めて貰ったんだよ」  流斗は平然と言った。  「えっ?何、詩音と皆神くんって唯の幼馴染じゃなくて、そういう関係なの?」  愛菜は怒っているというより、好奇の表情を浮かべている。  「違う、違う、寧ろ逆だから。私と流斗は一緒の部屋で寝ても全然、何もないから」  私が愛菜に向かって必死に説明している横で、流斗は素知らぬ顔。  「えー、いくら何でもそれはないでしょう」  愛菜は疑いの目を向けて来るが、これは事実だ。私と流斗は子供の頃からお互いの部屋に泊まることはあったが今までそういう雰囲気になった事は一度もない。デスゲームをやり過ぎて、疲れて寝落ちしてしまう、これがいつものパターンだ。  だけど愛菜はまだ疑いの目を向けて来る。  「愛菜、本当だって。私が流斗となんて絶対あり得ないから」  最後は強い口調になった。  「詩音がそこまで言うなら信じるしかないよね」  「うん、信じるも何も絶対ないから」  「う、うん、そこまで圧を掛けて言わなくても、もうわかったよ。それより食堂行こう、12時近くなってきたから混みだすよ」  「そうだね」  よかった、愛菜にわかって貰えた。  「へえ、あり得ないんだ」  流斗の低め声が耳の奥に響いた。  横を見ると、流斗が冷たい目を私に向けていた。  「何?」  私が流斗に向かって問いかけると、流斗は少し先を歩く愛菜の元へと走って行った。  「愛菜ちゃんさあ、明日、暇?」  呑気に愛菜を口説き始めた。  さっきのあの目は何?  食堂に着くと、もうほぼ満席状態で、3人一緒に座れそうな席は入口近くには見当たらない。でも、このマンモス級の生徒数を誇る大学の食堂はとても広い。  「俺、奥の席が空いてるか見て来るから、二人は先に買ってて」
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