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 案内された円形のテーブルの前に着くと、先に茶髪のチャラい風の男が足を広げて、まるで威嚇するような形で座っている。  「豪、少し詰めてくれないか」  黒髪の眼鏡の男は茶髪のチャラい男に向かって言うと、茶髪のチャラい男は嫌々そうな顔をしながら席を詰めた。  「はは、ごめんね。座って」  黒髪の眼鏡男が促すと愛菜は茶髪のチャラい男の右横に座った。その愛菜の右横には流斗が座ろうとしている。  「どうぞ厳島さん」  黒髪の眼鏡男はそう言うと、彼の横の席からリュックを退けた。  「あ、ありがとう」  座ろうとしたら、後ろから腕を引っ張られ、のけぞるような形で後ろに倒れそうになった時、流斗の顔が見えた。  「詩音、こっち座ったら?」  愛菜の隣の席を勧められた。つまり、愛菜と流斗の間。何?愛菜を口説くんじゃなかったの?私を心配してまさか兄貴気取り?いつもは頼りないのに、愛菜に見せるため?  「いや、良いよ。私、こっち座るから」   逆に流斗の腕を引っ張って無理矢理眼鏡の男の隣に座った。  「ヒュー、嫌われちゃったね」  茶髪の男は嫌味な口調で流斗に言う。だけど流斗は気にしている様子もなく、笑顔を浮かべながら、愛菜と私の席の間に座った。  "ピピピー"  席に腰を下ろしてすぐに、私と愛菜の食堂の呼び出しベルが鳴り出した。  「愛菜、取りに行こう」  「うん」  愛菜が立ち上がって取りに行こうとしたら、流斗が先に立ち上がった。  「いいよ愛菜ちゃん、俺まだ注文してないから、注文ついでに愛菜ちゃんの受け取って来るよ」  「良いの?皆神くん、ありがとう」  愛菜は流斗に呼出ベルを渡した。  「ほら詩音行くぞ」  「はい、はい」  私と流斗は愛菜を置いて、受け取り口へと向かった。  「ねえ、流斗、注文は?先に注文してから受け取った方がいいんじゃないの?」  私は受け取り口の横にある注文口を指差したけど、流斗は拒んだ。  「いや、必要ない。俺、さっき売店でサンド買ったから」  えっ?何それ、愛菜にカッコつけるために取りにきたの?本当、呆れるよ。  「ねえ、流斗本気なの?」  受け取り口の前で私の先に立っている流斗の背中に向かって話しかける。  「本気って何が?」  愛菜の注文したオムライスセットを受け取った流斗が振り向いた。  相変わらずの素っ惚け顔。  「何って」  私は自分の生姜定食を受け取ると、流斗の後を追いかけた。  テーブルに戻ると、何故か愛菜と茶髪男が笑い合ってる。  「お待たせ愛菜ちゃん」  流斗は丁寧に愛菜の前にトレーを置いた。  「ありがとう、皆神くん」  愛菜のお礼に微笑みながら頷くと、隣の席に座った。  「へえ、優しんだねえ」  また、茶髪男が流斗に嫌味らしく言う。  「ところでさあ、おまえどっちの彼氏なの?」  茶髪の男はどうやら流斗が私か愛菜の彼氏だと思ってるらしい。最初に"友達"って言ったのに。            
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