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「私、待っている。」  言葉が脳を通らずに心臓から喉を上がって出てくる。心が話している。 「一人になって待っている。時間をかけてLouisに説明するから。私も真っ直ぐに生きていきたい。本当の自分で生きていきたい。ずっと、ずっと愛しているのよ。Dennisあなたしか愛せないの。どうしても・・・どうしようもないの。あなたを愛している。」 「・・・ケイ・・・」 「これが正直な私。」 「僕は君がパートナーと別れることを望んではいないよ。君が幸せならいいんだ。それが僕の幸せだから。」 「あなたといたいの。私ももう偽れない。」 「来月の終わりにはイラクに行くんだ。もし・・・もし、ケイが来てくれるなら・・」 「ついていく。」 私は六年前に言いたかった台詞をやっと音にできた。 「私、何処へでもついていくよ。あなたが許してくれるなら。」 「・・・いや・・ごめん、馬鹿なこと言って。ケイにはパートナーが・・・僕が自分勝手過ぎたよ。こんなこと突然言い出すなんて。そんなつもりじゃ・・」 「わかってる。・・・わかってる。」 「イラクに行くことと、僕の本当の気持ちを伝えておきたかったんだ。またいつ会えるかわからないし。」 「わかってる。わかってる。」 私の心は完全に開かれてDennisと歩き始めた。止まっていた秒針が自らの力で動き出す。 「出ようか。」  Dennisの一言で私たちは席を立ち、彼は私を静かにゆっくりと抱きしめた。私は彼のすべてを吸い込むように胸に取り込み、必ず連絡すると約束してカフェを出た。駅に向かう足元は確実に地を蹴り進む。自分の人生を歩いている。この道でいいという確信が、私の歩を進める。家に着くまでも、玄関を開けてからも、何も思いつかない。Louisを説得する手段を、戦略を練ろという声がするが、私は何も考えられない。
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