君がいい

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君がいい

 カレンダーは勢いよく振り向いた。 「なんでよ!? カラフルで綺麗やんか!」 「色が多すぎて目が疲れる」 「日本海やで!? 男のロマンやろが!」 「白波のせいで、書き込んだ文字が見えにくい」 「休みの日、修正効いてんで?」 「君なら全部覚えてて、僕に教えてくれるでしょ?」 「アホか! 人をアテにしくさってからに!」 「頼りにしてるからさ。1年僕の机で働いてよ」 「そ、そこまで言われちゃ……まぁな。働いてやらんこともないで?」  垂れ下がった文字の縁がみるみるピンと上向きになっていく。 「あ、ほら、カウントダウンだ。3、2、1、新年おめでとう。2021年は君の年だ。1年間よろしくね」 「よっしゃ! 全部儂に任しとき!」  2021年は賑やかな年になりそうだ。 僕はワクワクしながら卓上カレンダーをパソコン横の定位置に据えた。         〈了〉
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