透ける下心

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わあ。わあああ〜! 遥希くんが笑ってる……! 遥希は岡崎の初恋話を聞いてげらげら笑っている。ツボに入ったらしい遥希は、身体をよじって笑い転げていた。それを見て、岡崎はなんとも言い表せない幸福感に満たされた。 遥希が笑っているのを見るのは初めてではないのに、この状況に立ち合えているのが、とてつもない幸運のように思えるのだ。 「ひどーい、人の初恋を笑うなんて!」 と、口では言いつつも、遥希の笑いにつられて岡崎自身も笑っていた。遥希は笑い過ぎて泣いている。その様子をどきどきしながら岡崎は見つめていた。 「ごめんごめん、岡崎らしいなと思って」 ひとしきり笑うと、遥希は仰向けになり、はーっと大きく息をついた。笑いの名残りを感じさせる遥希の表情に、岡崎は吸い寄せられる。 なんか遥希くん、きれいだなぁ…… 「はー疲れた。もう寝よ寝よ」 「えっ、まだ遥希くんの初恋聞いてないよ」 「また今度な、おやすみ」 「ええー今聞きたい聞きたい聞きたい!」 岡崎の抵抗も虚しく、遥希は本当に眠ってしまった。さっき、すぐは寝られないって言ってたのに……。 岡崎も寝ようと目を閉じた。が、眠れない。 すぐ横にある遥希の寝顔が、妙にきらきらして見える。なんだろう。僕、目がおかしくなっちゃったのかな___ じりじりと遥希に近づき、目の前にある頬に、岡崎は自分の頬をそっとすり寄せた。 やわらかい。 あたたかい。 きもちいい。 岡崎はそのまま目を閉じた。 今までに感じたことのないぴかぴかの気持ちが心の中に生まれたことを、まだうまく認識できないでいた。
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