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  「この後三人で飲みませんか」     ルイが顔色を窺うようにそう尋ねる。結婚式の夜なのだから初夜があるのではないだろうかと思い、セオドアは口を開く。     「跡継ぎも急かされておりませんし、問題ないでしょう」     セオドアの心を読んだように、ノアは言葉を重ねる。     「ありがとう、ノアさん。ね、セオ様もいいでしょう?」     腕を絡ませながら首を傾げる。セオドアが甘えられることに弱いことを知っている、恋人特権の仕草だった。近くで感じる甘い視線と、少し離れた場所から感じる静かな視線にセオドアは頷くことしかできなかった。   ***   セオドア、ノア、ルイの三人を乗せた馬車が、大公邸に到着した。夫夫(ふうふ)と恋人という異様な組み合わせに使用人たちが緊張する。セオドア自身、馬車に乗る前までは気まずさを感じていた。   しかし、ルイが気にした様子もなく話すため緊張感が薄れていた。二人が話す間、ノアは時折相槌を打ったり笑みをこぼしたりしていた。決して悪い雰囲気ではなかったように感じた。こういう時、恋人が物怖じしない性格で良かったと思う。
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