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  夜は披露宴を兼ねたパーティーが開かれる。セオドアが皇太子であれば、民へのお披露目もあるが、皇位の継承権を持たないためそれは省略された。披露宴には式よりも多くの貴族たちが集まる。   そのなかにはルイもいる。ルイとノアは始めて顔を合わせるという訳だ。     衣装は式のときよりも、パーティー向けの色鮮やかなものになっている。ノアを迎えに控室を訪ねると、ほとんど間を置かずして扉は開かれた。     「似合っているよ」     「ありがとうございます。セオドア様はとても美しいですね」     真顔で「美しい」といわれ、世辞なのか本気なのか分からなかった。形式上配偶者となった彼に手を差し出す。躊躇うことなく重ねられた手の平は、騎士の手をしていた。2人並んで、重く豪奢な扉の前に立つ。     「そなたが、どこのどなたかは存じ上げない。そして今後聞くこともないだろう。ただ役目を果たせ」     突き放すように他人行儀に話したあと、やりすぎたと思った。取り急ぎ少し崩した口調に直したが、余計冷酷な言葉になってしまった。   セオドアの後悔に気が付かない様子で、ノアは「承知いたしました」と平坦に返した。頷きながら何か言わねばと口を開きかけたところで、入場を促すように扉が開かれた。
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