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使用人にワインやチーズ、ナッツを準備させると、ルイとセオドアは普段通り飲むことを楽しんだ。ノアは勝手が分からないのか、ちびちびと飲んでいるようだ。
「ノアさんはお酒苦手でした?」
「いえ、どちらかと言えば好きです。それ程酔わないのですが、飲みすぎるとかえって眠れなくなるので控えています」
「へぇ、興奮状態になる人はよく見かけますけど、それとは違うんですか?」
「どうでしょう。友人が言うには見かけは変わらないそうですよ」
そう言うノアが飲んでいるワインは、なかなか強いものであった。
「それが飲めるのなら、随分耐性があるようだ」
「酒豪を相手にするときは便利です」
ノアなりのほんの少しのジョークがうかがえた。ルイも機嫌が良さそうににこにこしている。いや、ルイは酔い始めているのだろう。グラスを持つ手がおぼつかなくなっていた。
「そろそろベッドに着いたほうが良さそうだ」
ルイからグラスを取り上げ、体を横抱きにして立ち上がる。
「私が連れていくから気にするな。すぐに使用人も来るから片付けもしなくてよい」
「分かりました。私も失礼させていただきます」
背を向けて廊下に一歩踏み出してから、思い出したようにセオドアは口を開く。
「仕事はいつからだ」
「明日からです」
「そうか」
「はい、お休みなさいませ」
ノアが頭を下げる気配を背中で感じながら、セオドアは寝室へと向かった。
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