愛しい

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※  キスは、たくさんしてきたけど。  最後までするのは、あれ以来。  極力痛くないようにしたいから、めちゃくちゃ慣らそうと思って、ローションをたっぷりつけてそこに触れた。 「――――……?」  なんか、思ってたより、柔らかい気がする。  あの時、最初に触れてた時は、もっと……?  そんな風に一瞬考えていたら、先輩がオレを見上げて「なに……?」と聞いてくる。 「いや、なんか……思ってたより、柔らかいなぁって」  別にごまかさなくてもいいだろうと思って、そう言ったら、一気に真っ赤になった。 「え?」  なんだ?? 「……っい、いいから、早く、して」 「……? 陽斗さん? え、何どうしたの?」  いいからって言われても、そんな反応見て、スルーして進めないんだけど。オレ今そんな恥ずかしいこと言った? 「気のせいかもしんない。……ごめん、変なこと言った?」 「…………っっ」  握った手の甲で口元を押さえて、真っ赤になってる先輩は、オレが見つめていると、涙まで浮かべた。 「……え、どうしたの、マジで。何?」  腕を掴んで、その顔を覗き込む。 「……っ……」 「ん? 何?」 「……一応……少し……」 「……?」 「………………っ」  めちゃくちゃ小声なので、先輩の口に耳を寄せると。 「洗った?」 「……っおっきい声で言うなよっ」 「って、ここオレ達しか居ないし、誰も聞かないし」  苦笑を浮かべながら、首をかしげてしまう。  洗ったって、何を?……って。 「――――……え、それって」  突然思い当たったことに驚いて、先輩をまじまじ見つめてしまうと。 「も、無理……!」  そう言って、くるっとうつ伏せになって、枕に沈み込んでしまった。 「え、もしかして、中、準備、してくれたの?」 「……っ……だって、するって、言ってたじゃんか。だから……石鹸、つけて、洗った方がいいのかなって……」  それはそれは、恥ずかしそうに、埋まったまま、まるで文句を言うみたいな口調でそんな風に言うけど。  風呂場で。オレとするために、準備してくれたのかと思うと。 「……もう、ほんと無理……ていうか、何、柔らかいって……恥ずかしすぎなんだけど……」  そんな風にぶつぶつ言ってる先輩が、もう可愛くてならなくて。  肩に触れて、こちらを向くように少し引く。 「陽斗さん、こっち、向いて」 「――――……っやだ」 「キスさせて」 「…………ッ」  何秒か、葛藤してるっぽい間があったけれど。  ゆっくり、枕から顔を上げて、オレを見上げてくる。  まっすぐで綺麗な瞳は、今は、なんだか涙で滲んでて、眉を顰めてる。 「なんかすっごく……興奮すんだけど」 「…………っっ」  余計に寄った眉と、まだ赤くなる頬。 「ほんと陽斗さんて……ヤバいよね……」  言いながら、何か言いたげな唇を塞いで、深く、口づけた。 「……ッ……ン……っ……」  舌を絡めて、口内をなめる。上顎に舌を這わすと、ん、と震えた。 「……は、……ぁ……」  口の隙間から、声が漏れる。 「……ん、んん……っ……」  すぐにキスに夢中になって、涙の滲んだ瞳が、とろん、と力をなくす。  可愛くてしょうがなくて、めちゃくちゃ丁寧にキスしながら、もう一度ローションを足して、下に指を這わせた。 「んん……っ」  びく、と背が反って、舌が外れそうになるけれど、また絡めとる。  深くキスしながら、指を中に入れて、中を慣らしていく。  前もローションを使ったから、割と容易く中に入れられたけど。  今日は、中に入れると、きゅ、と締めつけてくる。  ――――……あー……なんか。  早く、入れたい。  頭、おかしくなる位。  のぼせてくる。 「……ッン、ぁ……っ……」  中、前に感じたところを、探して動かしてると、びく、と大きく震える箇所を発見。繰り返して刺激してると、開いてた脚がビクビク震える。 「……んぁ、あッ……や……っ――――……ん、っふ……」  焦ったみたいに喘ぐ唇をまた塞ぐと、甘えるみたいに、くぐもった声が漏れる。  ――――……シャワー浴びに行って、オレと、するために、この人が自分でここに触れてたと思うと……しかもそれに気づかれた時の、あの顔。  ああ、もうマジで、可愛いな……。  二本に増やした指で、感じるところを刺激してあげると、一生懸命キスに応えながら、体が、震える。 (2022/11/25)
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