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「パパ、あひるちゃんであそぼ!」
帰宅してすぐの聡に奈津子はまとわりついている。
「鞄、持つわ。」
「ありがとう、真由美。おなかペコペコだけど、先に奈津子と風呂に入るよ。」
「わーい、パパうれしい!」
5年めに、ようやくさずかった一人娘がかわいくてならないらしく、聡は娘を抱っこして風呂場へと直行した。
小学生になった奈津子は、いつまで聡とお風呂に入るのかしら・・・・。
冷蔵庫から、ラップをかけたままのサラダを出す。今日は、シチューだから、あとは鍋をあたためるだけ。
風呂場から聞こえてくる楽し気な娘の声を聞いておられず、思わすテレビのリモコンをつける。
アイドルとお笑い芸人のかけあいが真由美の心をますます空虚にしてゆく。
「パパ、行くよ!あひるちゃん、しゅつどう!」
そのころ、風呂場の中では、湯船の中で、あひるちゃんレースがはじまっていた。
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