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レイが
「あの……」
と何か言いかけた。「え?」
今のは耳から聞こえてきたのではないぞ?
もしかして、とオレは心の中で考えた「レイ、聞こえるか?」
「ぁ……ハイ。聞こえます」
と心の中で返してきた。やっぱりだ。どうしてかわからないが、レイと心で話ができてる。「クロ、これはどういうわけだ?」
「こういうのは私も初めてよ。お互いを思いやって、心が通じたのと違うかな?手を放しても話せる?」
と聞かれたので、手を放してみる。「レイ聞こえるか?」
「……」
「手を放したらダメなようだ」
「そう。二人の距離が近づいた証拠ね。よかったわねお二人さん」
どうしてかわからないが、レイとオレは手を繋いでいたら心の中で会話ができ出したようだった。今後使い方を考える必要がありそうだな。
一番遠くから流木を拾いはじめ、元の場所に戻るころには、オレの両手に山積みの薪となっていた。これくらいあれば十分だろう。
先に薪に火を付け風呂にくべておく。いい具合の湯加減になるまでは食事の時間だ。食事を作るときも、食べるときも、オレ達は二人でくっついていた。こんな秘境だからこそできるんだが……。
その後のお風呂も、もちろん二人で入る。まぁ、二人でイチャイチャしたことは認めるさ。適当に想像しといてくれ。
秘境の夜は早い。オレ達はすることがなかったので、海岸に出て星空を見上げた。いつかあの浜で見た時よりもきれいに見える。周りに電灯がないからな。でも、いくら暗くても手さえ繋いでいれば、ずっと話ができていたから、オレ達はとても幸せを感じていた。
その後キスも数えきれないくらいした。クロが見ちゃいられないと車の陰に隠れてしまった。そのいい雰囲気のまま、車の中の布団に誘って……あとはご想像にお任せしよう……。
渚の街のモノクローム[ドロだらけのダイヤモンド]終
あとがき・作者雑感は次のページです。
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