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「岡野君、君はいったい何者なんだね?」
「へっ?!何がですか?」
「何がじゃないよ。今日本部長から直々に電話があったよ。公立のS病院の業務上横領事件の捜査本部をうちに置くとな。それでだ、既に本部から30名の捜査員が送り込まれてきたよ。うちからは君を筆頭に、捜査員を組めとお達しがあったんだよ」
「な?!もうですか?」
「それでだな、君にはしばらく署の捜査本部にきてもらわなきゃならんのだが、本部長は変なことをおっしゃっられたよ。署の近くの一軒家を借りて、そこに君に住んでもらうようにとな。あと、被害者になるかもしれないから、本田レイさん?も一緒に住んでもらって君に守らせるようにということなんだ。さっぱり意味がわからんよ」
「あ~、なんとなくわかります」
「じゃあ明日、本田さんとこちらに引っ越ししてきてくれ。頼んだぞ」
電話を切ったあと、オレは「ウオー!」
と叫んでいた。
すぐにレイに知らせた。既に診療所を当分休んで捜査に協力してもらいたいと署長から話が来たらしい。(やるな、タヌキオヤジめ……)
次の日は引っ越しだったが、身の周りの物だけを持って行った。当然オレもレイも一緒に乗って行く。レイの親にはヘビ男の部分を除き、刑事課長から連絡しておいてもらった。今、外部にヘビ男のことを流してしまったら、証拠隠滅される可能性が高い。
オレは署長の命令により、猫二匹と出勤することになった。本部長が一軒家を借りてくれたのは、クロとシロのためだよな、気が利くというかなんというか……。
捜査方針として、まず経理の女を逮捕して取り調べを行い、取調べ室のマジックミラー越しにクロとシロを待機させ、何を考えているかを読んでもらうということだった。
本部長命令で、この作戦は極秘とされ、署長にさえ知らされなかった。事情を知っているのは、本部長と刑事部長、あとはごく一部の捜査員だけだ。
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