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と叫んだ。「よし、シロ、頼むぞ!」
今回はシロも慎重だ。でも、シロは正確だから頼もしいな。ヘビ男は特に慌てる様子もなく、一度駐車場に置いてある車に行き、何かを乗せてから元の建物に入って行こうとした。
「あれよ!」
とクロが叫んだ。「今の車に乗せたのは、経理の全データの入っているUSBメモリ。それを持って帰ろうとしている」
オレは本部長に通訳した。
本部長は、「ヤツを任意同行し、あの車の押収手続きをしたまえ」
と部下に命じた。すると、2~3秒で駐車場のあちこちから捜査員が走り出してきたかと思うと、駐車場の周りの山からもたくさんの人が下りてきた。
一部はヤツの車に付き、あとは建物に入って行った。それから数分でヘビ男は大勢の捜査員に囲まれて出てきた。まだ逮捕はしていないから、手錠はかけられない。ま、時間の問題だろうが。
クロ、シロに聞いてくれないか。ヘビ男は本田病院、いや、レイの両親に何かしてるんじゃないかってな」
「ウン、実はね、本田病院の経営もあまり良くはないみたいで、そんな時にヘビ男がお父さんに取り入って、経営を立て直す資金を出す代わりに、かわいいレイと結婚させろと言ったみたい」
「なるほどな。だからこの前はヘビ男とデートするように仕組んだんだな。レイ、ご両親を恨んだらだめだよ?」
「ウン。わかってる。何も言わないわ」
「ウン。ありがとう。さあて、あとはオレ達の出番だな。取り調べをしてるとき、ウソ言ったらデスクに赤いランプが付くようにすれば面白いのにな」
本部長やお付きの人、レイまでが大笑いしていた……。
…………
事の顛末
数時間後に逮捕状が出て、ヘビ男はそのまま逮捕されたようだ。公立の大病院のER部長が業務上横領で逮捕されたというニュースは、その日のうちに全国版で流れた。
しかし我々の仕事はこれからが本番だ。ヘビ男を有罪にまで持っていくには相当な労力と時間がかかる。でもま、クロとシロがいる限り無罪になるなんてことは絶対にないと言えよう。
オレは今回のことでレイの決意がよくわかった。こんな輝くようなレイを他の男に渡してたまるか。こんな、ダイヤモンドのようなレイを……。
先日ドブに飛び込んだレイは、さしずめドロだらけのダイヤモンドってとこだな。大事にするよ、レイ……。
クロが「ウフフ……」
と笑った。
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