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「ラジャ!」
「何かあったらクロに言ってくれよ。呼んでくれるから」
とオレは言って山に入って行った。
この辺の山は、人の手が入ってないところがほとんどなので、茨も多いし、何より毒虫などもいる。レイにやらせるわけにはいかないよな。オレは念のため、クロに話しかけてみた。テストみたいなものだ。
「クロー、聞こえるか?」
「ハーイ、大丈夫。感度良好!」
クロとの会話ができるのは、無線機よりも当てになるよな。そういえばこの辺は無線機もなかなか入らないところだった。こんな場所なのに、クロと普通に話せるのは奇跡的なことに違いない。
山で両手にいっぱい薪を集めたので、クロに「一度戻るから」
と伝えて薪を置きに戻った。レイは既に水を貯め終わっていて、暇そうだったので、オレは
「レイ、オレと一緒に海岸の流木を集めに行こうか」
と誘ったら、嬉しそうについて来た。藪と違って海岸は石ころばかりの浜なので、安全だろう。
海岸に降りたところから拾っていくのは合理的ではない。なぜなら、一番遠くまで行って、また戻って来ないといけないからな。その間ずっと荷物になる。だから、一番遠くまでは手ぶらで歩く。レイと二人だから、当然手を繋いで歩くことになるな。えへへ。
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