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「脱いで」
脱がせてもらえない屈辱にふれ、それでも私は言う通りに下着姿になり、ベッドに横たわった。あなたに仕返しされるのなら、それも仕方ないから。
「きれいな白い肌。まるで陶器のお人形」
夕映さんは歌詞を語るように、私に向かって口ずさむ。
すっと私の肌に触れるその感触は、奏多とはまるでちがって、壊さないように細心の注意を払うかのようだ。
でも、氷の冷たいピンで止められたまま、私は人形みたいにぴくりとも動けない。
私は海のdoll。波に浮かぶお人形。
ただ揺られて、見知らぬ土地に運ばれていく。
そのメロディは、その言葉たちは、私であり、あなただ。
いつだって、私は夕映さんの身代わりだった。
奏多が全て剥ぎ取るのなら、夕映さんは着たままの私を愛でる。自分はワンピース一枚脱がないままで。
彼女は私の裸の写真を持っていた。奏多からもらったのだと言う。
事を終えて眠っている私の姿。いつのまにかシャッターを切られていたんだ。もし売られていても防ぎようがない。
でも多分、奏多はこれを夕映さんだけに見せた。そんな気がした。
そうじゃなかったとしても別に後悔はない。自分が選んだ人に何をされたとしても。
迷っていた夕映さんの背中を押したのが、この写真なのだろうから。
いつまでも見つめていたら正気でいられなくるんだよ、魂を映したものは。
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