* 遥果 *

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 叩きつけるような夕立。走り抜けると尚更痛いけれど、バシャバシャと水たまりを駆け抜けて、ドアを叩く。  雨に濡れたまま、制服のままの私を奏多があわてて迎え入れる。  気がついた時には彼の家に来ていた。この先の運命を受け入れるために。 「知ってたんだね、奏多」  彼は黙ったまま、大きなタオルで私をくるんと包む。私は唇を受け入れる。ああ、なつかしい。この艶めかしい感触が恋しかった。  そのままバスルームに連れていかれて、手をかけられる。  でも、どうしたの? いつもの速攻型じゃない。  セーラーの青いスカーフをゆっくり引いて、一つだけ衿のボタンを外す。  露わにされた鎖骨に、慈しむように這わせていく指先。身体中に痺れが来るように、私の中の血流が騒ぎ出す。  少しずつくるくるとハイソックスを脱がされる。濡れているからなかなか進まないのか、わざとなのか、わからない。  いつもと違う奏多の行動は、もしかしてこの制服のせい?  脇の下のファスナーが下ろされ、両腕をつかんで上げられる。 「いい子だ。じっとして」  捲り上げられて胸をさわられると思ったら、セーラーをきちんとハンガーにかけてるから、めちゃくちゃ笑った。 「ほら次、スカート。きちんとしないと皺になるよ」  今日の奏多は、中の人が交代したんだろうか。  下着を脱がさないままに、シャワーを浴びせられた。 「渇かないと帰れないね、お嬢さん。未成年なのにね」  思わず、私はもう18だと告げる。近いうちに成人の規定も変わるでしょ。 「いつも何て言い訳してたの、帰らない時は」 「深夜までバイトしてるって。いないことに気づかれないことも多いよ」 「そんな訳ないだろう」 「母は帰宅した時、私を確かめたりしない。別に私になんて興味がないの、あの人は」  身体にぴったりと張り付いたまま、私は撫でまわされていく。その愛撫に愛はあるのか。あってもなくても、欲しいものは欲しい。  水圧でくっついた布が気色悪い。肌にアイロンで押し付けられたかのようだ。  だから、自分から手を入れて、空気を入れる。  それが合図のように、濡れた布の端から彼に手を入れられて、電流が走る。指先で探られていく。紛れもなく快楽。今日は、頑なに、脱がされない方のステージ。  奏多のストライプのシャツが縦に揺れる。張り付いた布に二人で欲情していく。  下を見たら、石鹸の泡が波のように流れていくのが映った。
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