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次の日に、シーツを洗う。真っ青な空の下。
ガラガラ洗濯機を回して、自分のや奏多のも混在させて。その間に私はシャワーを浴びてくる。
ブザーが鳴って、庭の物干し竿に二人でシーツを干して、風に吹かれたそれを見ている。
私の髪もたなびいていく。短冊のようにさらさら鳴る。今、この時。
「ねえ、何時間で渇くかな。1時間? シーツと私の髪、どっちが先に渇くかな」
しばらく顎に手を当てて考えていた奏多が、あって声を上げた。
「待ちきれない? 別にシーツなしで、どこでも抱くけど?」
「バカじゃないの。誘った訳じゃないよ!」
「嘘つけ」
「嘘じゃない」
「お前は俺がすきだから、嘘をつくだろ」
これだから、自意識過剰の男はイヤだ。私は誰にだって嘘をつくのに。
彼が西瓜を切って、庭に運んできた。
今年初めての西瓜だ。生まれてから数えても片手で足りる。
かぶりつく口の端から甘くなっていく。西瓜を持つ手に赤い汁が滴る。
奏多の腕にも流れて行くのが見えて、私はそれをなぞっていく。甘い、野菜の、この夏の汁。
「お前、JKだってバレてから、清々しいくらいやることがこどもっぽくなったな。笑うようになったし」
そう言って、こどもにするみたいにくしゃくしゃと頭を撫でられた。
やだ、西瓜の手のままで。
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