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夏の朝
日差しは強いけど空気はまだ冷たい夏の朝。ねこの安全を確かめて玄関の鍵をかける。セミの声が降ってくる。バス停まで歩く。セミの声っていい感じに質量があるよね。さっき飲んだバッファリンのパチモンのパッパリンが効いてきて、肩と腰が軽くなってきた。このまま体が軽くなって小学生みたいに走れたらなと想像する。仕事も母のこともあの人のことも愛も憎しみも全部放り出して、今から走っていくとこが光あふれる野原だったらいいのにと、さらに想像する。そこには逆光で見えないけど、きっと私を大好きなあの人が待ってて両手を広げて私を抱き上げてくれ‥‥って、これ死ぬ時のイメージじゃんか!
「ねこを置いて逝けるか!」
おお、いかん。自分にひたってたら自販機の90円の水が売り切れだよ。
さてバスが来た。110円のお茶を買って今日も出勤するよ。ねこに会いに帰ってくるために。光あふれる野原は、全部済んだら行くからそん時までの楽しみにとっとく。キープね。水みたいに売り切れんなよ。ちゃんと補充しとってね、神様!
じゃ。そゆことで、また!
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