プロローグ

2/3
前へ
/3ページ
次へ
私は神だ。 地球を創造した神である。 しかし、今となっては私は大して立派な存在でもないらしい。 人類は神がいなくても十分に生活できるようだからだ。 わかりやすい例を挙げてみようか。 例えば水とはどのような物質なのか? という問題があったとするだろう。 大昔の人類はそれがわからなかった。 だからこそ生きていくために必要な水を創造してくれる神様はありがたい存在であり、敬う対象だったのだ。 だが今となっては違う。 人類は私の思っている以上に水というものの理解を深めたようだ。 水素原子2つと酸素原子1つからなる化学物質だということを判明させてしまったのだ。 正直、私もなんとなくで作ってたところもあったので人類の探究心には驚かされた。 だがその結果、水に対するありがたみや私に対する敬意は薄くなっていってしまった。 水に限らない。 この世のだいたいのものは 「こうやってできている」 と人類はわかってしまったらしい。 そんな世の中になってしまったため私の立つ瀬というのはかなり小さい。 そんなわけで最近はやることが少なくなってきた。 たまにわかったふりをしてる人類を災害で困らすくらいにしか仕事がなくなってきた。 それ以外の日は下界を見て人類を観察する。 神といっても現在はこんなものなのだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加