江戸のポンコツ陰陽師、時空を越えて安倍晴明に会いに行くも・・・・・・予想外だらけで困ります

1/136
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
 泰平の世が続く時代。  ここに一人、切に師匠を望むものがいた。  強くなりたい。  自立したい。  頼られる存在になりたい。  そう強く思い、同時にそれを叶えてくれる師匠を探しているのだ。  だが、現実にはそんな師匠はおらず、また、探してもいるものではなかった。 「なぜだ。どうして誰も解らないと言うのだ。こういう感じでと、ふんわりしか伝えられないのだ。儀礼として決まっているからとしか答えないんだ」  師匠を探す土御門泰久(つちみかどやすひさ)は、そう呟いて頭を抱える。  彼は京の都で陰陽師(おんみょうじ)として働いている。それも陰陽寮(おんみょうりょう)陰陽博士(おんみょうはかせ)なんていう立派な地位にある。しかし、彼はその陰陽道が何たるかが解らずに悩んでいた。 「何でだ?」  十七歳と年若くして陰陽博士になれたのは、安倍晴明から連なる土御門家の人間だからだ。次期当主だからだ。だが、そんな理由だけでいていい地位じゃないだろうと、日々悩んでいる。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!