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そんな身動きが取れない泰久を、晴明が背中に庇う。しかし、そこを道満がすかさず狙って刀を振り下ろしてくる。
「くっ」
晴明は手に持っていた短刀で何とか刀を受け止めた。だが、右腕一本しか使えず、しかも泰久を守りながらとなると、ほぼ身動きが出来ない。
「そのお荷物は何だ?」
道満は面白そうに泰久を見てくる。動きが一人だけ違うものだから、部外者だとバレバレだ。
「お前には関係ない」
晴明は泰久を道満の目から隠すように背中に押しやる。
「確かに関係ないが、お前との戦いの邪魔になっているのは事実だ。先に消してやろうか」
しかし、道満はこのままでは面白くないと、それに晴明を困らせてやろうと泰久に狙いを定めてくる。ざっと踏み込む音がしたかと思うと、道満は背後に回り込んだ。
「なっ」
「くそっ」
面倒なことをしてくれるんじゃないと、晴明は泰久の襟首を引っ張って、間一髪で攻撃を躱す。だが、周囲には矢が飛び交っており、その一つが泰久の足に刺さった。身体が大きく動いて、晴明を守るように働く人たちの隙間に出てしまったのだ。
「いっ」
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