寝るだけの仕事

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 あれから2週間経ったが、デート中沙菜は相変わらず結婚式の話ばかりし、隆太は相変わらず生返事を繰り返していた。  ナチュラルな木目調のテーブルにパンフレットを広げた沙菜は、隆太にも見えるように角度を変える。 2人のデートはいつもカフェだった。 「式場、どこがいいと思う?」  パンフレットから顔を上げた沙菜と目が合う。 ページをぱらぱらとめくってみたが、どれも似たりよったりで正直どれでもいいと思った。 「沙菜の好きなとこでいいよ」 「隆太は何人ぐらい呼ぶ予定なの?」 「さぁ? 沙菜の好きなようにしてくれたらいいよ」  言ってから、またやってしまった、と顔をしかめる。 案の定、沙菜は目を閉じて呆れた様子を見せた。  何か言わねばと頭をフル回転させていると、沙菜のほうが先に口を開いた。 「この前言ってた寝るだけの仕事、あったよ」  怒っているのかと思ったら、思いの外あっさりと別の話題を口にする。 「え、まじ? どんなん?」  結婚の話には興味を示さなかったくせにと詰られそうではあったが、実際興味があるのだから仕方がない。 そんな仕事あるわけがないだろうと思いながら発した言葉であったため、実際にあることに驚いた。 「本当にただ寝ているだけでいいみたいよ」
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