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マリはユウコを起こしてしまわないように注意しながら抱き抱えて、ゆっくりと寝室の方へ運んでいった。 小さな家だったが寝室は母親と娘で別れている。マリは娘を自分に依存させすぎないようにと思ってそのようにしていた。 真っ暗な寝室の少し子供には大きすぎるくらいのベッドの上にユウコを優しく寝かせた。 まだ、少女は気持ち良さそうに穏やかな寝息をたてている。 ユウコは眠る前に母親に絵本を読みきかせてもらうのが好きだ。少し前まではそうしてもらわないと眠れないほどだった。最近になってようやく一人でも寝られるようになったのだが、それでも好きなことには変わりない。だからリビングで母親の帰りを待っていたのもきっとそのためだろう。だけど、こうして眠ってしまったものを起こしてやる必要もない。また明日。それでも遅くないのだから。マリはそう思った。
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