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けれども、冒頭の何行かを読んでしまわないうちにユウコが手を振って「やっぱり、いい」と言った。
「なに、いいの?」
「いい」
「そう。じゃあ、別のやつにする?」
「……それもいい」
「そう、それじゃあどうする?もう寝るの?」
ユウコは天井を見つめてしばらく黙ってしまった。急に何か考え事でも始めたようだ。
けれどもそれならこの際だから、普段あまり話さないようなことを話す良い機会かもしれない、とマリは思った。
「そういえば、学校はどんな感じ?」
そう問われて、ユウコはマリの顔を見つめた。そうして、なんだか聞こえないくらいの声で「うーん……」ともらした。
「どう、そんなに楽しくない?」
「……別にそんなに悪くはないんだけど」
と、ユウコはまた目線を天井に戻して答えた。
「それじゃあどんなことが楽しい?」
すると、またユウコは「うーん……」と声を出してから、何も言わなくなってしまった。
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