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「……ねえ、もう学校には行きたくない?」
マリがそう尋ねると、ユウコははっきりと母親の目を見て、こっくり頷いた。
「行きたくない」
「そう、わかった」
マリはそう言って、娘の手を握りしめた。そうしてまた暫くの間、彼女は部屋の隅の暗闇を見つめていた。
「ねえ、ちょっと待ってて。今日買ってきたものがあるの」
そう言ったかと思うと、彼女は足早に部屋を出て行った。
けれども一分もたたないうちに、何やら灰色の巨大な丸っこい物体を両手に抱えて現れた。
例の段ボール箱の中身はこれだったのだ。
「なにそれ!?」
ユウコはそれを見て興奮してベットから跳ね起きた。見慣れないものだったので、新しいおもちゃか何かだと思ったのだ。
マリは何も言わずにその灰色の物体をベッドの上に運んだ。ランプの光に照らされて、その正体がもう少しよくわかるようになった。
それは、灰色のやや薄べったい巨大なカプセル状の物体であって、よくみると小さなスイッチやらダイヤルなどもついている。どうやら、機械的なものらしい。そして、さらに詳しくみるとカプセルの周りをその二つの先端を通る形で細い溝が一周している。
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