1

9/10

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「どう、寝心地は?」 「いい感じ!」 実際カプセルの中は驚くほど快適に感じられた。体全体がクッションに心地よく沈み込んで、全く寝心地の悪さを感じない。 「今日はこの中で寝るの。どうかな?」 ユウコはこれを聞いてちょっと驚いた表情を見せたが、やっぱり大分このカプセルが気に入ったらしく、「いいよ」と言った。 「そう、よかった。それじゃあこのフタを閉じるからね」 ユウコはまた頷いたが、マリがカプセルを閉じようとした瞬間、いきなり彼女の腕を掴んだ。 「……やっぱりちょっと怖いかも」 「大丈夫、大丈夫だって」 マリはそう言って笑ってみせた。 「全然怖くないんだよ。このカプセルに入るととってもよく眠れるんだから。それにすごく楽しい夢が見られるんだよ」 ユウコは暫くマリの腕を掴んだままでいたが、とうとう手を離すとまたカプセルの中に収まった。 「……じゃあ、また明日ね」 ユウコがそう言うと、今度はマリが彼女の手を握って言った。 「うん。また明日も、ずっと一緒」 「わかった」 「じゃあ、おやすみユウコ」 そうして、終にカプセルは閉じられた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加