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少しばかり未来の東京の街。その郊外の寂れたところにひっそりと佇む小さな一軒家。夜中の十二時ごろになって、玄関の鍵を回す音がその静かな家の中に響いた。ここに娘と二人だけで暮らしているマリがその日の長い仕事を終えて帰宅したのだ。
「ユウコ!まだ起きてる?」
ドアの合間から家の中にいる娘に呼びかけたが返事はない。
もう既に子供にはだいぶ遅い時間になってしまった。
マリは普段仕事に持って行く鞄の他に何やら非常に大きな段ボール箱も一緒に持っていた。
それは両手で抱えなければならないほど大きな荷物で、彼女はそれを苦心しながらなんとか家の中へ運び込んだ。
そうしてそれをひとまず玄関口にドシっと置いてしまうと、早足にリビングの方へ入って行った。
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