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奈津と初めて会ったのは、大学1年の語学の授業。
俺、西山雅人と、新倉奈津は五十音順で隣り合わせだったから、必然的に隣に座っていたというだけ。
ちんまりとした彼女は隣りの机の物音に気づくとぱっと振り向いて、子犬のような丸い目をにこっと細めて、こんにちは、と言った
「新倉奈津です」
「あ、西山雅人です」
必要最低限の自己紹介をしあって、その日はそれでおしまい。
でも、語学の授業はずっと続く。
大学という開けっ広げすぎて人間関係の作りにくい環境で、入学したてに知り合って話すようになった相手とはかなりの高確率でその後も関係が続く。刷り込みのように。
新倉さん、西山くんと遠慮がちに呼び合っていたのがいつのまにか、奈津、雅人、と変わったのも、特別なことじゃない。
その頃の俺たちは正真正銘の友達で、奈津に好かれているなんて、思いもしなかった。
大学時代を振り返ると、なかなか良い時間だったなと思う。
俺は語学の時間には奈津と知り合っていたけど、体育の時間やら第二外国語の時間にも色々と新しい出会いがあって、知り合いの知り合いのようにして人脈は繋がっていく。
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