していいの?

1/4

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

していいの?

次の日— 会社に行ったらタイムカードに何かクリップしてある。 開いてみると—。 可南子からのメモだった。 『昨日はごめんなさい。 告白する前に振られたんだから、 あのくらい許してください。 でも彼女さんには本気で謝ります。 でもまだあきらめられないんで、 別れたら教えてください。 お幸せに』 なんかかわいい絵文字いっぱいで、可南子らしいな。 てか、何だよ。 あきらめたのかあきらめないのか? 思わず笑ってしまう。 恵実を傷つけたのは許せないけど、 昨日の出来事は、俺と恵実の中をより深めたのは事実だ。 可南子の気持ち、しっかりと受け止めていこう。 とひそかに思った。 秋の夕暮れ—。 配達終わりに、 公園のわきの自販機でポカリを買う。 まだまだ暑いから、 冷たいペットボトルを触っただけでほっとする。 「先輩だめですよ」 「大丈夫、誰も見てないし」 そんな声が聞こえて、 思わず遊具の影をちょっと見てしまう。 すると、 少し離れたところで高校生らしきカップルがいちゃついてた。 いいなぁ、アオハルかよ! 見ちゃいけないのに目が離せないでいると、 角度的によく見えないが、 がっつりキスしてやがった。  あんな濃厚な! 恵実の子供のことを考えてしまって、 なんか複雑な気持ちでその場を去ろうとした。 でもその時、 「続きしたい」 という男の声がそう聞こえた。 まじかい! いや俺だって高校時代そういうのあったよ? でも外で致しちゃダメでしょ? 俺ならもし誰かに彼女の肌をみられたらって思って、 二の足を踏んでしまう。 なんか悶々とした気持ちのまま家に帰った。 「おかえりー」 まだ同棲してるわけじゃないけど、 ちょくちょく訪れる俺に、 恵実も子どもたちも、 そう言って迎え入れてくれるようになった。 でも今日は恵実の声しかしない。 「ただいま。あれ愛奈たちは?」 愛奈とはめぐの娘だ。 「あれ?今日はパパのとこに行くって伝えてよね? だから楓人君来てくれたのかと思った」 と言われて思い出す。 そういえば言ってたかも。 「ごはん食べる?お風呂?」 思わずじっと恵実を見てしまう。 「?な なんかあった?」 何となく今日の高校生のことを思い出していた。 そういえば俺付き合ってからキスとかすらしたことないかも。 ディープ…なのとか…。 思わず唾をのんでしまう。 「楓人君 なんかあった?」 そんな俺の下心にも気づかず、 恵実は俺を覗き込んでくる。 「いや 風呂入ってくる」 俺は欲望を畳み込んで風呂に向かった。 別に欲求がないわけじゃない。 でもめぐといると、子供いる時も二人きりでも、 なんだかほんわかしちゃって、 エロい雰囲気にならない。 多分もう家族としての域に入ってるからなのか、 恵実がエロい雰囲気を作らせないのか? いや決して恵実に色気がないわけじゃないんだけど…。 なんかそういう穢れた感じはいけないんじゃないか、 とか思わせる空気はたまに感じる。 なんか高校生の生々しいの見ちゃったからなのか、 タイミングよく二人きりなのも相まって煩悩だらけになってしまう。 そういえば恵実は俺としたいっておもってるのか? 二人も子供いるのに、 純情ぶってるわけじゃないよな? あぁぁぁ。 よこしまな考えをシャワーでがしゃがしゃとあらに流した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加