していいの?

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「楓人君、大丈夫?」 あまりに風呂が長いので、 心配した恵実が脱衣場から声をかてきた。 「あ、うん、もう出るから」 「はーい。じゃ、ビール出しとくね」 すりガラスに映る恵実の影に鼓動が早くなる。 いや俺どーてーかよ! 風呂出てわざと半裸で居間に行ってみる。 なんか俺ばっかり意識してるみたいでいやだから、 という子供じみた理由だ。 「え?」 を見た恵実は心の声が自然と漏れた。 なんか嬉しい。 俺の肉体美を見せびらかす(笑) 「暑いの?扇風機いる?」 いやいやいや、子ども扱い? 少し照れろよ!彼氏が半裸だよ!? 「いや大丈夫」 心と裏腹に何でもない風を装う。 「そう?じゃ食べようか」 恵実もさらっと夕飯にしようとする。 なんだよ。意識してくれよ…。 ちょっといじけた気持ちになった。 でもよく見ていると、 恵実が俺を…俺の体をチラ見している。 き、気のせいか? たわいもない話をしながら飯食って、 片づけを手伝う。 洗いつけが終わったら、 恵実はアルコールを飲まないから麦茶で、 俺はチューハイを持ってソファーに座る。 軽く乾杯をして、 「なんか 夜二人きりってなかったよね?新鮮」 と恵実が嬉しそうに言う。 「今日は独りぼっちかと思ったから、 楓人君来てくれてよかった」 こういうとこ素直なんだよな。 恵実からシャンプーのにおいがする。 俺が来る前に風呂に入ったんだ。 だからお風呂がいいにおいしてたんだ。 なんか変態みたいだな俺。 そんなこと考えてたら、 なんかムラムラしてくる。 思春期かな俺(笑) 恵実の髪を撫でてみる。 無反応。 でもやっぱいいにおいする。 「今日さ、公園でポカリ買ったんだよね」 「うん」 「そしたらさ。物陰から声がしてさちょっと覗いたら高校生でさ」 「うん」 「むっちゃキスしてた」 「へ?」 へ?って何? 「愛奈のこと考えた?」 「うーん。まぁ親としちゃ複雑だけど、 まあなるべく健全に安全に付き合ってくれたほうがありがたい」 とあいまいに笑った。 「大人になったら、 あんなとこであんな大胆なことできないよな」 「確かに。でも高校生の時ってそういうのも恋愛の要素というか、 アオハルではあるよね」 麦茶を一口飲むその喉の動きが、 なんだかいつもよりつやっぽく見える。 「愛奈はいい思い出が残るような恋愛させてくれる人と付き合えたらいいかな  親の立場ではね」 「じゃぁ」 俺は麦茶を取り上げてローテーブルに置くと、 恵実を見つめた。 「じゃぁ恵実は?」 俺の問いかけに、 恵実の顔がみるみる紅く染まっていくのがわかる。 うぶかよ! 「恵実はどんな恋愛がいいの?」 まさかこのまま清い交際を望んでいるの? 「え?え?私?」 俺はそんなに清くない! 恵実の目が俺しか映さなくなる。
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