ダメだから(おまけ)

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ダメだから(おまけ)

「いらっしやいませ」 恵実(めぐみ)と一緒に買い物に出る。 近くのドラッグストアだ。 日焼け止めとか洗顔とか、 恵実が見ている間に俺はお菓子を買う。 息子の創と娘の愛奈と約束していたものだ。 お菓子を選んで恵実のいるへんに戻ると、 なにやら店員さんと話している。 「このメーカーは今はこの商品にかわりましたよ」 と背の高いキレイな店員さんがにっこり笑って答えていた。 恵実は相変わらず丁寧に 「ありがとうございます」 と頭を下げていた。 「今詰め替え用の在庫確認してきますね」 とバックヤードに消えてく店員さんを見送る恵実に声をかけようとすると、 いつかの男の店員が恵実に声をかけてきた。 「お客様何かお探しですか?」 そいつは恵実を覗き込むようにして話しかける。 やめろばか!恵実がいやがって…。 「大丈夫です、今、お姉さんにたのんだので」 と笑顔で返している。 いや 嫌がれよっ! 「めぐ」 イライラして近づいて声をかける。 「あっ楓人くん」 俺はイライラしてるのに、 恵実は俺に会えて嬉しそうに笑う。 「お菓子わかった?」 と聞いてくるから、 わざわざ肩を抱いて、 「うん これで大丈夫だと思う」 と店員を見ながら言った。 俺の恵実だから! 店員も俺を見たあと恵実に向き直って、 「何かあれば声かけてくださいね」 と言ってにっこり笑った。 このやろうふざけんな! そこにさっきの女の店員が来て、 恵実に商品を渡してる間にあいつはいなくなった。 レジに向かいながら恵実が 「さっきの店員のお姉さん、 楓人君のことめちゃくちゃ見てたよね? なんかやきもち焼いちゃう。 私の楓人君なのに」 と呟いた。 いやいや、恵実の方が危なっかしいじゃん! 悔しかった俺はさらっと言う。 「そう?俺、恵実しか見てなかったから、 お姉さんの視線に気がつかなかったなぁ」 こういうの恵実は照れちゃうって知ってる。 「え と …」 ほら顔真っ赤だし。 かわいい恵実を見られたのはうれしいけど、 やっぱりあいつに愛想よくするのはダメだから。 「お会計して早く帰ろ」 「う、うん」 「早く2人になりたいし」 そう耳元で言ってやる。 それでさらに赤くなるめぐを楽しむ。 「あ あんまりからかわないで!」 やっぱり俺の恵実はかわいい。
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