先に好きになったのはお前だけど

軽い気持ち

実際俺は家庭をもってる恵実を、
どうこうしたい訳じゃなかったし、
ただなんとなくお近づきくらいな気持ちだった。
でも何度かLINEのやり取りしてるうちに、
どんどん恵実にはまっていくのがわかって怖くなった。
俺のせいで恵実の家族が壊れたら？
とか真剣に悩んだ。
今ならまだ恵実とのこのやり取りも、
なかったことにできないかと何度か思った。
だってほんとに理由なんかない。
軽い気持ちで声かけただけだから…。　

Lineはじめてから2か月くらいたった後、
何気ない会話の流れだった。
いつもより　Lineでの会話が弾んでいた
♯そういえば　こんなにLineしてて
♯旦那さんとか大丈夫？
それは素朴な疑問だった。
実際旦那にばれて変な状況になるのも面倒だと思ったし。
＊旦那は今日は出かけています
＊子供たちもゲームしてるので
＊私は暇です
と返事が返ってきた。
こんな遅くに出掛けるってことは飲み会かな？
♯へぇ旦那さん飲み会かなんかですか？
＊そうです
こんなそっけない返事は久しぶりだった。
なんか聞いたらいけないことだったのかな？
＊私はお酒飲めないので　
＊お呼びがかかるのはお迎えくらいです
＊でも最近は迎えも必要ないみたいです
♯え？お迎えいくんですか？
＊はい
＊旦那が一番年下なので
＊先輩たちの手前っていうのがあるみたいで
＊でも最近は代行使ったりするみたいです
俺が嫁なら酔っ払い迎えに行くのなんかやだな。
＊中島さんは飲まないんですか？
あからさまに話題を変えられる。
＃まあ　多少は
＊じゃ　飲みにいきます？
いや　今自分は飲まないって言ってたのに…。
＃恵実さん飲まないですよね？
俺の質問に斜め上の答えが返ってきた。
＊私昔スナックで働いてたんです
＊今もたまにママに顔見せに行くんですけど
＊もし　ご迷惑じゃなければ
＊今度ご一緒してもらえませんか？
ぷっ！
飲めないのにスナックで働いてたのかよ。
でもこれってデートみたいじゃない？
いいのか…俺？
それでも恵実の誘いを無下に断れなくて
＃じゃ　機会があれば
と濁しておいた。