それは俺にとって

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それは俺にとって

俺に触れられて、恵実はちょっと驚いたけど、 すぐに嬉しそうな顔をした。 それはスナックだからそういう態度なのか? と一瞬思わせるような仕草でもあった。 「そういうことされたら、 今の私は楓人(ふうと)君のこと本気で好きになっちゃう」 と言って瞳を揺らした。 「なっちゃダメなの?」 思わずわかりきった質問をしてしまう。 そんな俺に戸惑ったように、 「楓人君は困らないの?」 と聞いてくる。 そしてさらに、 「私的にはダメじゃないんだけど…」 と言ってきた。 ダメじゃ…ないの? だって恵実は…人妻だし…。 「そんな顔しないでください」 そう言われてハッとなる。 え?俺どんな顔してる? 「わかってます。 私結婚してるし、子供いるし…。 それに楓人君も本気じゃないでしょ?」 そう言いながら恵実は顔を逸らす。 あれ?泣きそう?なんで? 「大丈夫。この(はこ)のなかだけってわかってるから」 そこでママが帰ってくる。 「あぁ !ふうと君まいちゃんを泣かせてる」 と 言って恵実に近づいてよしよししてあげてる。 恵実もそれを受け入れてまた笑顔に戻っていた。
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