くじ引き部屋の一夜

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 最中と田辺の2人は、3人部屋を見渡し、最中は目を輝かせた。 「広いー!」  最中は軽やかにベッド上に乗り、座ると、田辺を見て手招きする。 「なあなあ、ふっかふかふかだよー」 「まじ!?」  座ったままびよんびよんしている最中を見て、田辺も荷物を乱雑に置き、ベッドに座る。 「飛べる飛べるー!」 「な、ふかふかふか。めっちゃ楽しいなー」  『ふか』が1個多いのが気になる。 「このまま飛んで、また遊園地行ってアトラクション乗りに行きたーい!」  田辺は手をピンと上げ、天井を指差した。最中は嬉しそうに頷く。 「いいな、それ。じゃー行くぞ。3、2、1、0」 「びよんびよんびよんびよん」 「あはは、飛んだー飛んだー!」  2人は座ったままベッドで嬉しそうに跳ねていた。  俺は立ち尽くす。  だめだ、きっと、このノリにはついていけない。 「充も飛ぶ?」  暁はベッドを軽く叩き俺を呼んだ。  俺は目を背けた。  もう名前で呼び捨てかよと思いながらも 「あー……俺はいいや」 とだけ伝える。 「そうなんだ、楽しいのに」 「なぁ、悪いんだけど、先お風呂に入っていい? なんか疲れちゃって、早く寝たいんだ」  俺がそう言うと、最中と田辺は顔を見合わせ、笑って頷く。 「全然いーよ」 「どうぞ。俺ら順番とか気にしない」 「あ、ありがとう」  俺は逃げるように風呂場に向かった。
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