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風呂を出て、ドライヤーで髪を乾かして部屋に戻る。
「お帰りー」
「お帰りー」
最中と田辺は、俺に手を振る。
「……何してるの?」
「叩いてかぶってじゃんけんぽんやるとこー」
「2人だけで話してるのもあきたからさ」
「へ、へぇ……」
最中はヘルメットかぶり、田辺はピコピコハンマーを持っていた。
ピコピコハンマーはまだ分かるとして、ヘルメットはこのために持ってきたのだろうか……?
2人はそれぞれ目の前にピコピコハンマーとヘルメットを置いた。
「やるぞ、叩いてかぶってじゃんけんぽん!」
「あーっ! やばーっ!」
「今ー!!」
ピコピコピコピコ
ハンマーをすばやくとった最中は、ヘルメットをかぶり損ねた田辺の頭を何度も叩く。
ピコピコハンマーから軽く高い音が鳴る。
「いたぁーっ!」
田辺は頭を押さえる。
「はい、勝ちー!」
最中はガッツポーズをする。
田辺は最中に指をつきつけた。
「ずるいぞ暁! ピコは1回だろ!?」
最中はきょとんとした。
「え、そうなの? ルールあんの?」
「ある!」
田辺がむっとしてそう言うと、最中は笑って頷く。
「分かった。ピコ1な」
「うん、ピコ1な?」
「おっけー! ピコ1ルールおっけー!」
「あははは、もう1回だ」
きゃっきゃする二人を見て、俺は唖然とする。
「充もやろー」
最中と目が合うが、俺は目をそっとそらす。
「あー……いいや。お風呂ありがと。悪いけど、俺はもう寝る……」
きょとんとされたが、俺はベッドに入る。
早く寝よう。
早く寝たら、朝が来て、この部屋から解放されると思いながら布団をかぶり、ぎゅっと目を閉じる。
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