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「まず、どうして私なの」
「だって成績良くて、こんなお願い聞いてくれるの、加恋しかいないじゃん」
「野球部の仲間はに頼めばいいじゃん」
「みんな自分の勉強で精一杯だから、だめ」
はーっ、と私は徹に見せつけるように長い溜息をついた。
「絶対嫌だ」
「だから、どうしてだよう」
「だって徹さ、高校入ってまともに勉強してないでしょ?」
高校に入学してから1年少し。
徹のお母さんが会う度に、徹が野球ばっかりで全く勉強しないことを嘆いていたことを思い出す。
徹に勉強を教えるほど大変なことって、きっと他にはない。
「だって野球で精一杯なんだもん。毎日朝練も放課後練もしてさ、勉強する暇なんてないんだよ」
頼むよ~と訴える徹を、無理だよ、と突き放した。
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