幼馴染

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「滝川さん……」 中川くんに連れられてやってきた大橋くんが、ためらいながら私を呼ぶ。 少し逸らされた目線と瞳に浮かんだ色から、私にきまずさを感じている様子が伝わってきた。 「大橋くんも勉強苦手なの?」 大橋くんに告白してもらったことは、由夢をはじめ、徹にも誰にも言っていない。 告白されたなんて、わざわざ言うべきじゃないと思うし。 私までよそよそしい雰囲気を出すと変に周りに勘付かれそうだなと思い、私はできるだけ普段通りのトーンで話すように心がけた。 「うん、苦手、すごく苦手」 「そっか、じゃあ頑張らないとね」 にこっと笑うと、大橋くんもやっとーぎこちなさは隠せないけれどー笑ってくれた。 「んじゃ、今日から頼んだぜ!!」 「私もよろしくね~」 昼休みの終わりを告げるチャイムと共に、私の席からみんなと一緒に離れていく由夢が振返りながらニヤッと笑う。 「ちょっと、由夢の勉強を見る約束はしてないってば!」 一応抗議したけれど、きっと由夢の勉強も見ることになるんだろうな……。 由夢もいつも成績あんまりよくないよなあ……。 由夢、中学校の頃は結構賢かったのにな……。 中間テストまでの自分の将来を想像して、私は「はあ~~……」と今日最大のため息を1人でついた。
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