3人が本棚に入れています
本棚に追加
4月。
高校2年生になった私、滝川加恋は、目の前にいる同じクラスの男の子、大橋直人くんに呼び出され、昼休みの今、ほとんど人通りのない廊下にいた。
「うん、知ってた」
“けど、きちんと気持ち、伝えたかったから”
私の目をじっと見て伝えてくれた後、大橋くんは少し寂しそうに笑った。
「そっか」
ごめんね、も、ありがとう、も違うような気がして、簡単な言葉を返すと、大橋くんは呼び出しに応えてくれたお礼だけを告げて、私に背を向けた。
そう、私には、彼氏がいる。
名前は、坂口 涼。
同じ中学校出身で、同じ高校に通う1歳上の彼は、正直とてもかっこいい。
切れ長の目に、筋の通った高い鼻、少し薄い唇。それに加え、身長184cmというスタイルの良さ。
彼は街中でスカウトされたことをきっかけに、自分の美貌を活かして半年前からモデルとして活動を始めた。
「加恋」
そしてテレビでの活躍が目立ち始めた最近は、この甘い声が、世間の女の子を虜にしていた。
最初のコメントを投稿しよう!