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「涼くん」
大橋くんに呼び出された後に教室へ戻る途中、大好きな甘い声に名前を呼ばれて振り返ると、今日も周りに女の子たちに囲まれながら立っている彼がいた。
「今日、学校来てたんだ」
モデル業を始めてまだ半年、されど半年。
美貌と甘い声を持ち合わせた彼は、雑誌にテレビに引っ張りだこで、多忙を極めていた。
「うん、加恋に会いたくて」
甘過ぎるセリフだって彼に言われたら、思わずうっとりしてしまう。
「連絡してくれたら、よかった、のに」
不意に顔を近づけられたことに動揺し、しどろもどろ言う。
もう知り合ってーなんなら付き合い始めてー1年以上経つのに、いつになっても、彼のかっこよさには慣れない。
「そうだね」
私の照れている様子を見て、彼はクスクス笑った。
「けど、連絡する暇があったら、加恋の顔を見たくて」
彼は私の頭を優しくなでてくれた。
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