大好きなひと

3/5
前へ
/298ページ
次へ
「涼くん」 大橋くんに呼び出された後に教室へ戻る途中、大好きな甘い声に名前を呼ばれて振り返ると、今日も周りに女の子たちに囲まれながら立っている彼がいた。 「今日、学校来てたんだ」 モデル業を始めてまだ半年、されど半年。 美貌と甘い声を持ち合わせた彼は、雑誌にテレビに引っ張りだこで、多忙を極めていた。 「うん、加恋に会いたくて」 甘過ぎるセリフだって彼に言われたら、思わずうっとりしてしまう。 「連絡してくれたら、よかった、のに」 不意に顔を近づけられたことに動揺し、しどろもどろ言う。 もう知り合ってーなんなら付き合い始めてー1年以上経つのに、いつになっても、彼のかっこよさには慣れない。 「そうだね」 私の照れている様子を見て、彼はクスクス笑った。 「けど、連絡する暇があったら、加恋の顔を見たくて」 彼は私の頭を優しくなでてくれた。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加