大好きなひと

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「あ、あと、これ、おみやげ」 「今日も? いつもありがとう」 涼くんは、雑誌の撮影で女性モデルと一緒になることもたくさんある。 そしてそんなときは、必ずと言っていいほど、女性モデルが使っている化粧品―もちろん、まだ世には出ていない新発売のものや、高校生が自分ではとても買えないような高価なものとかもーを現場でもらってきて、こうしてプレゼントしてくれる。 「今日の放課後、空いてる?」 大好きな彼に会えたことに加えてプレゼントまでもらい、満面の笑みを浮かべた私を満足気に見つめた後、涼くんは少し首をかしげながら尋ねた。 「うん、空いてるよ」 プレゼントから視線を涼くんに移す。 私の返事を嬉しく思ってくれたのか、涼くんは「よかった」と微笑む。 「それじゃあ、撮影ついてきてくれないかな? 今日の撮影はきっと早く終わるから、そのあと一緒にご飯でも食べよう」 私は涼くんの提案に大きくうなずくと、彼はまぶしい笑顔で―雑誌で見せる、輝くような笑顔で―「楽しみだね」と言ってくれた。
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