幼馴染

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「俺、今すっごいピンチなわけ」 「なんで?」 いつでもどこでも声が大きくて明るい徹が、いつになく真剣な表情で言うから思わず私はギョッと徹を見る。 「俺、野球部じゃん?」 「うん」 徹は小学校入学と同時に野球を始めて以来、高校生になった今でもずっと野球を続けている。 そして、ただ野球を続けているだけではなくて、徹は本当に野球が大好きで、部活の朝練と放課後練に加え、家でも毎日遅くまで素振りをしている。 本当に野球が大好きでたまらないのだ。 「俺が野球、頑張っていること知ってるだろ??」 「う、うん」 何の話が始まったのかいまいちつかみきれず、私は曖昧にうなずく。 「だったらさ、俺たちに、勉強を教えてくれ」 「はあ??」 どうして野球の話から急に勉強の話? 話の流れがつかめず、私は思いっきり顔をしかめた。 「野球の話からどうして勉強の話になるの?」 私たちの話を聞いていた由夢も不思議に思ったのだろう。 私の代わりに徹に聞いてくれた。
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