交流

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交流

 俺はウミカナを連れて磯に出た。 少し潜りゃ、ウミカナの食べる分くらいの魚なんぞ訳なく捕れた。 ウミカナは喜んで魚や貝を平らげた。  ウミカナを腹一杯にしてやることが、この頃俺の楽しみになっていた。  ウミカナはあんまり自分のことは話さない。俺も人間の世のことは分からない。  それでもウミカナが時折こぼす話を繋いで見れば、あまり幸の多い娘ではなさそうだと感じ取れた。  両親をなくし、遠縁の家で暮らすと聞いてもピンとは来ないが、めしは一日小さな握り飯2個限り、服も何やらチンチクリンでたまにアザを作ってやってくる姿を見れば、ウミカナが疎まれているのはすぐに分かった。  人に疎まれたもの同士という妙な絆からか、俺はどんどんウミカナに情をかけていった。 「やめておけ、キジムナー。情をかけても人間なんぞに伝わりはせぬ。恩を仇で返されるのが落ちじゃ」  芭蕉精に言われりゃそのたびに、苦汁を舐めるような心持ちになるが、ひとたびウミカナを見れば太陽(ティーダ)のような笑顔に惹きつけられる。  そうして気づけば7年が過ぎていた。
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