チューリップ

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 ピシャリとカーテンを閉め、目を閉じる。  もうどのくらい、この部屋から出ていないのだろう。  このベッドを最後に出たのはいつだったっけ。  辛うじて動く腕を除けば、拘束具で動くことを禁じられているようなものだ。  ……あいつのメールなんて、見るんじゃなかった。  あれさえなければ、揺れたりしなかったのに。  諦めなんて、とっくについていた。  だから何も言わずに姿を消したと言うのに、全く……。 「…………」  そう考えて、僕は腕を伸ばしてスマホを手に取る。
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