チューリップ

5/6
前へ
/16ページ
次へ
 涙が溢れそうなのを必死に抑えて、何とか笑顔を作る。 「言いたいことはいっぱいあるんだけど、言い切れないなぁ……。あ、けどこれは言いたい。  ……好きだったよ。お前のこと、ずっと好きだった。  僕のことは忘れてくれて良いよ。いや、寧ろ忘れて? 勇気なくて、言えなくてさ。分かってる、狡いよな、僕。こんなタイミングで言ったら、嫌でも思い出しちゃうのに。  けど、幸せになって欲しいんだ。好きな仕事して、好きな人と結婚して、子供産んで……人並みの幸せを手に入れて欲しい。……なんて、我儘だけど」  堪えた涙が、堪え切れなくてついに溢れた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加