チューリップ

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『今、何処にいますか?』  脇の小さなテーブルに置いてあるスマホが振動し手を伸ばして確認すると、たった一言そのメッセージが表示されていた。  僕はそのメッセージを見て少し考えてから、既読をつけることなくスマホを裏返す。  何となく落ち着かなくて窓の外に目をやると、うざったいくらいの快晴が広がっている。  昔の僕は、空色が大好きだった。  澄み切った空が何よりも好きだった。 「……昔は」  今じゃ、見るだけで吐き気がするくらいだ。
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