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   ─────憎しみ、ではない。  桐吾は傷ついているのだ。  ただ………伊織の死に、深く傷ついている。 「おいで」  僅かに頭を振った桐吾の頬に、涙が伝った。  私にはそれが、霞みがかった空を洗い流す雨雫に成り得るように思えた。
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