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九
私が十二
伊織が十八
桐吾は十になったばかり。
『伊織の弟?』
『市中におりましたが、母を亡くしました故に城に上がる運びとなりました。若様とはお年も近く、剣の腕も中々にございます。遊び相手として可愛がってやって頂きとう存じます』
伊織の後ろに控えていた初々しい前髪。私もまた、前髪の童。共に幼き出会いだった。
『おいで千駒。正月に父上から賜った馬を見せてやろう。厩舎には才松もおる。其方より一つ年嵩だが背は其方の方が高い。みなで馬に乗ろう』
『お馬には乗った事がありません』
『私が教えてあげよう。春になれば、みなで海まで駆けよう』
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