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   私が十二  伊織が十八  桐吾は十になったばかり。 『伊織の弟?』 『市中におりましたが、母を亡くしました故に城に上がる運びとなりました。若様とはお年も近く、剣の腕も中々にございます。遊び相手として可愛がってやって頂きとう存じます』  伊織の後ろに控えていた初々しい前髪。私もまた、前髪の童。共に幼き出会いだった。 『おいで千駒(せんこま)。正月に父上から賜った馬を見せてやろう。厩舎には才松(さえまつ)もおる。其方より一つ年嵩だが背は其方の方が高い。みなで馬に乗ろう』 『お馬には乗った事がありません』 『私が教えてあげよう。春になれば、みなで海まで駆けよう』
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