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私達はみな不穏な時代の最中に生まれた。
旧い時代と新しい時代が交錯し、畝り合った激しい時代に生まれた。
多くの犠牲と不幸を背に、また時代は変わってゆく。
だが生きて行かねばならない。
いつの日も私を支えてくれた愛しい人達を、私はこれから先も守り、生きてゆきたい。
「おまえがいなければ、私はいないよ」
「あの子が最後の恋だと仰った……その上私を斬ろうとしたくせに……」
この男は。
まったく大概執念深いな。だがこれからはそんな話を沢山しよう。肚に溜めていた物想いは全部まとめて私にぶつけて構わないから。
「初めて会った時から、貴方の心は兄上のものだった……」
「そこからか」
「私が捻くれたのは全部貴方のせいですから……!」
「わかった。他には?」
「語り尽くせません……!」
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