10/13
61人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
   私達はみな不穏な時代の最中に生まれた。  旧い時代と新しい時代が交錯し、畝り合った激しい時代に生まれた。  多くの犠牲と不幸を背に、また時代は変わってゆく。  だが生きて行かねばならない。  いつの日も私を支えてくれた愛しい人達を、私はこれから先も守り、生きてゆきたい。 「おまえがいなければ、私はいないよ」 「あの子が最後の恋だと仰った……その上私を斬ろうとしたくせに……」  この男は。  まったく大概執念深いな。だがこれからはそんな話を沢山しよう。肚に溜めていた物想いは全部まとめて私にぶつけて構わないから。 「初めて会った時から、貴方の心は兄上のものだった……」 「そこからか」 「私が捻くれたのは全部貴方のせいですから……!」 「わかった。他には?」 「語り尽くせません……!」
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!