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管理人室
ここは集合住宅地から離れた静かな高台。
木材だけで建てられた赤い屋根のお家🏠があります。
「今日も良い天気だじょ」
くわぁ〜と大きな口でアクビをする黒猫🐈⬛が玄関横の部屋の出窓で丸まっています。
「たばにゃん、おはよーござまし」
「おはよーだじょ」
「今日も皆さまと仲良しさんしてくださいまし」
薄い黄味のかかるカーテンを揺らしてたばにゃんは声の主の足元へと降りました。
擦り寄ると声の主は屈んで、その小さな手のひらで頭をなでなで。
「ま、任せるのだじょ!」
気持ちよさげにゴロゴロと戯れてから、たばにゃんはトテトテと部屋の扉へと颯爽と歩きました。
前足を使ってドアノブを器用に回して開けます。
このお家にはたばにゃんの他に5人の男女が住んでいます。
みんな家族のようで、家族ではありません。
ここは[シェアハウス]というもので、一軒のお家でたくさんの人が共同生活をする場所なのです。
たばにゃんはそのお家を住処にするにゃんこです。
お家を管理するオーナーの飼い猫ではありません。
シェアハウスに住んでいる住民は管理人を見たことがありません。
契約は流行りのネットを通じて行われます。
シェアハウスに住む絶対条件はただ一つ、[たばにゃんのお世話をすること]です。
このお話しはシェアハウスで暮らすたばにゃんとその住民たちとの日常記録です。
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